output43’s blog

誰かに都合よくいい感じで見せたい雑記

あの時、確かに、僕は、輝いていたんだ。。。

今週のお題「部活」

あの日、あの時、確かに、僕は、輝いていたんだ。。。


中学に入学した僕は悩んでいた。

なんの部活に入ろう?

1つ決めていたことは、今までやったことの無いスポーツの部活に入ること。
卓球、バレーボール、剣道、、、、特に決定打もなく悩んでいた。
そんなとき、同じクラスの友達が誘ってくれた。

「一緒にテニス部に入ろうよ。」

テニス部。
興味がなかったわけではない。ただ、なんかちょっとカッコつけ過ぎかな(誰に対して?何に対して?)、という思春期の謎の理由で候補に入れてなかったのだ。
ただ、僕はその友達が好きだった(今でも大事な友達)。その友達は中学に入学してからの友達なので、友達になってからの時間は短かったのだけど、その友達と一緒にいたり、話をしたりしていると、なぜかとても心地よく古くからの友達のように感じていた。
なので僕はテニス部に「仮」入部することにした。
(1年生は入学後、部活を決めるまでに猶予があり、興味のある部活に仮入部して部活の雰囲気、先輩の怖さなどを確かめることができたのだ。)

テニス部に仮入部初日。
ちょっと不良な感じ(でもヤンキーではない)の、優しくカッコいい3年生の先輩たちが迎えてくれた。

さすがテニス部。ヒエラルキーの上位に属してそうな人たち!
僕も先輩みたいになれるかな?モテるようになるかな?根拠の無い淡い期待。

3年生の先輩はコートの端に集まっていた僕を含む1年生達に言った。

「みんな、素振りしてみようか。」

「最初の構えはここ。そこからラケットをおろしてきて、おへその位置でボールを捉えて振り切る。」

僕は教えられるままに素直に素振りをした。
すると、、、

「お前、上手いじゃん!!」

いきなり僕は褒められた!仮入部は他の1年生より遅かった僕。が、いきなりのお褒めの言葉!

「もう1回振ってみて。」

僕は先輩に促され、もう1回ラケットを振った。

「上手いじゃん!ちょっとボール打ってみなよ。」

僕は、仮入部初日、いきなりコートに立つことになった。他の1年生をゴボウ抜き!の快挙である!
素振りを続ける同級生達。コートに立つ僕。
ありがとう!僕を誘ってくれた友達よ!僕はテニス部のエースになるよ!上がるテンション!

コートに立つとネットの向こう側から先輩がボールを打ってくれた。

僕は教えられた素振りのフォームで、ボールを打ち抜いた!鋭くドライブをかけたボールでリターン!
新エース誕生!!


となるはずだったんだけど、まあ、そんなに世の中甘くない。動くボールを正しいフォームで打つのは難しい。バラバラのフォームで打ち返すボールはネットにかかったり、ホームランになったり。

結局すぐに素振りチームに戻されたのだった。ゴボウ土に帰る。

仮入部初日に、先輩にいきなり褒められたこと!
これが僕の輝いた時!

というわけではなくて、本当の輝きはもう少し後になってから訪れることになる。

テニス部で幸先の良いスタート!大好きな友達も一緒!ということで、僕はテニス部に正式に入部した。

季節は進み秋になった。カッコいい3年生の先輩は引退し1年生と2年生だけになった。
そして僕の学校は市の大会に参加した。

その大会は、

・学校対抗のダブルスの団体戦
・各学校から3ペア出場
・各ペアが他校のペアと1試合づつ対戦
・2勝した学校が勝ち上がる

というものだった。
(各学校の先鋒、中堅、大将が対戦して2勝したほうが勝ち)

で、
僕の学校は2年生が少なく2ペアしか作れなかったたため、1年生も試合に出ることになった。そして、幸運なことに、その出場選手に僕は選ばれたのだ!(僕、輝きそう!)

で、大会の日がやって来た。
僕の学校の顧問は策士だった。ほとんどの学校が、

先鋒:弱いペア
中堅:まあまあ強いペア
大将:強いペア(エース)

というオーダーを組むのだが、うちの顧問は違った。

先鋒:まあまあ強いペア
中堅:強いペア(エース)
大将:弱いペア(←僕のペア)

というオーダーを組んだのだ。

顧問の作戦はこうだ。
・1年ペア(僕のペア)は相手のどのペアと戦っても負ける。
・ならば捨て駒として相手の大将にぶつける。
・その他の2ペアで確実に勝つ!

まさかの展開で、僕らのペアは大将となり相手のエースペアと戦うことになったのだ!

僕の学校の先鋒、中堅が2勝したのか、1勝1敗だったのか、2敗したのか覚えていない。
ただ、僕は自分の試合の時、あまり緊張していなかった記憶なので、きっと2勝、もしくは2敗していて、学校としての勝敗はついていたのだと思う。

そして大将戦が始まった。僕はコートに立った。
始まった、と言っても実はいきなり試合は始まらない。本当の試合を始める前の数分間、相手チームとウォーミングアップの意味もあり乱打をするのだ。(お互いにボールを打ち合う。軽めのラリー。)

相手のエースがボールを打ってきた。軽めのラリーとはいえそこそこ鋭いボール。
僕はそのボールを打ち抜いた。鋭くドライブをかけたボールでリターン!
僕の後ろで見ていたギャラリー(うちの学校の人や相手の学校の人。女子テニス部員もいる!)が少し湧いた。

「おおっ!?」

明らかに捨て駒の1年生が試合前の乱打とはいえ、いいボールをリターンしたのだ。

相手のエースは僕のボールを打ち返した。僕はそのボールをを再びきれいな球筋でリターンした。

「おおーー!」

僕の後ろで湧くギャラリー。

僕がリターンする度に歓声は大きくなっていった。
歓声の中には女子の声も!

「おおーーー!」
「おおおーーーーーー!!!」

より大きくなる歓声!


「あの1年生、実は捨て駒じゃないんじゃないか?」
「実は1年生にしてエースなんじゃないか?」
「カッコいい!付き合いたい!付き合って欲しい!」

なんて声は全く聞こえなかったけど、多分、ギャラリーはそんな話をしていたに違いない!

僕は輝いていた!まばゆいぜ、自分!


が、しかし、その輝きは儚いものだった。

相手のエースは僕のラケットを持っていない側にボールを打ってきた。
僕はバックハンドでボールを打ち返した。

「べコーン。」

ラケットの変な場所にボールが当たり、ボールはあさっての方向に飛んでいった。。。

「あああーーー。」
「クスクス。」

歓声から一転、ギャラリーからはため息や笑い声が。。。

そう、僕はバックハンドがめちゃくちゃ苦手だったのだ。
その後の乱打でも、意地悪にバックハンドの方に飛んでくるボール。
間抜けな音を立てて、あさっての方向に飛んでいくボール。

僕の「輝きキラキラタイム」はあっけなく終了した。


その試合がどんな結果だったか全然覚えていない。ただ確実に負けたと思う、だってバックハンドまともに打てないんだから。

その後、、、
僕はテニス部を続け、大人になった今でもテニスは好きである。

あの日、ほんの数分の出来事だったけど、今でもあの時の情景、あの歓声、あのため息をリアルに思い出せる。いい思い出である。

あの日、あの時、確かに、僕は、輝いていたんだ!

ありがとう!僕を誘ってくれた友達よ!心から感謝!

おしまい。