output43’s blog

誰かに都合よくいい感じで見せたい雑記

カリスマ先生に涙する

今週のお題「花粉」

花粉の時期になると決まって発症する副鼻腔炎。
副鼻腔炎は鼻が詰まるだけじゃなくて
目の周りが痛い!
頭が痛い!
歯が痛い!
となったりで3重苦。凶悪。つらーい。
と言う訳で、
それは花粉舞う、ある春の日のこと。

その日は副鼻腔炎が悪化しちゃって、もう朝から辛すぎて、会社に向かう電車の中であらゆる痛みと戦いながら会社の近くの耳鼻科を検索!

すると3つぐらい耳鼻科が出てきて、その中で口コミの内容が

・先生が優しい
・遠くからもわざわざ来てる人がいる
・風邪を引かなくなった

っていういい感じの耳鼻科が!
ここに決めた!

グーグルマップに導かれ病院へ。
20人くらいが座れる広さの待合室には、満席ではなく6〜7人ぐらいしかいない。

「お、ラッキー!空いてるかも。早くこの苦痛から開放してくれえ。」

って思ったのだけど甘かった。。。

受付の女性は優しい笑顔で言いました。
「2時間くらい待ちます。名簿に名前書いて時間になったら来てくださいね。」

ですよね。カリスマ先生のいる病院ですからね。しょうがないですよね。
うう、辛い。
 
2時間後。

受付に「戻りました。」と声をかけ待合室の椅子で名前を呼ばれるのを待つ。

顔中いたーい。つらーい。
苦痛に耐えていると
僕の前に座っていた70代ぐらいの女性二人の会話が聞こえてきた。

「私ね、隣の市からこの病院来たんですよ。」

「ここの先生有名ですもんね。結構そういう人多いみたいですよ。」

おお、まさに口コミ通り!(その1)

カリスマ先生に期待がかかる!期待せずにはいられない、止まらない、僕の鼻水。ズルズル。

しばらくして名前が呼ばれる。
いざ診察室へ。

カリスマ先生は70代くらいの優しそうなおじいちゃん。

優しく僕の訴えを聞いてくれるカリスマ先生。
一緒にしっかり治していこうと寄り添ってくれるカリスマ先生。

おお、口コミ通り!(その2)

順調に進む治療。快方に向かって進んでいる実感!

ただ、僕は何も分かってなかったんだ。
口コミにあった

・風邪を引かなくなった

の意味を。

カリスマ先生は、テキパキと診療を進め、細い管で僕の鼻水を吸い取ると

「はい。今度は口を開けてね。」

と言った。優しくね。

ああ、最後に喉を消毒するのね。耳鼻科あるあるね。

僕は口を開けた。

ふと見ると、カリスマ先生は見たことのない器具を持っていた。

長さ20センチくらいの箸みたいな細い鉄の棒。
鉄の棒の先端は三角形になっている。小さなトライアングルがついている感じ。

なんですかそれ????

って思った瞬間、小さなトライアングルは僕の口の中に侵入。
僕の喉の奥を軽くつついた。

「オエッ」

まあここまではよくある感じ。
軽く消毒。
風邪で内科行ってもやられるしね。

さあ、カリスマ先生。
そろそろ、その鉄の棒を引き抜いてもよいのでは。


んが、しかし。しかしである。
俺たちの戦いはまだ始まったばかりだっ!って感じで、

カリスマ先生は鉄の棒をグリグリと動かしまくる。
僕の喉で暴れる小さなトライアングル。チーン。

オエオエオエオー。
グリグリグリグー。
オエオエオエオー。
グリグリグリグー。

ホンキーでロングな鉄の棒が僕の喉で暴れまわる。

オエオエとグリグリがどのくらい続いたのだろう。

先生は鉄の棒を抜き取ると、トライアングルの先についた粘性のある鼻水の様なものを僕に見せた。

「これが『風邪の元』。もう風邪を引かないね!」


目からあふれ続ける涙。花粉のせいじゃないよ。カリスマ先生よ、あなたの小さなトライアングルのせいさ。チン、チン、チーン。

その後、数回、カリスマ先生のもとに通った。
行く度に、

オエオエオエオー。
グリグリグリグー。

をやって、涙を流した。
最後まで慣れることはなかった。

ただ、結果的に
副鼻腔炎は治ったし、そのシーズン風邪は引かなかった。

まさに口コミ通り。。(その3)

その後、勤務先も変わり、もうそのカリスマ先生のところには行く機会がなくなっちゃったのだけど、今日もまた、先生の元で誰かが涙を流しているのだろう。

でも大丈夫。
涙を流した分だけ強くなれるよ!

おしまい。